古今相聞往来歌類之下 雑歌

万葉集 12巻3096
うましに麦こまらゆれどなほしこひしく思ひかねつも



馬柵越しに麦を食う馬のように、叱られるけれど、やはり恋しくてその思いにたえきれないことよ。


「詈」るというと悪意があるように思うけれど、下の句を読むと「叱る」に近いものかと思われる歌です。 では、作者は誰に叱られ、作者は誰を慕っているのかというと、多分作者の「親」じゃないかと思います。(想像です) 馬のように、父母にしかられるけど、なお恋しくその思いを止めることができないと歌っているのだと思うのですが、 この歌は雑歌という事もありどんな状況の下で詠われたのかわかりません。
歌には書かれていないのですが、作者は作者の父母から子(作者)に対する「無償の愛」を偲ぶ歌ではないでしょうか。 作者はある程度の歳を重ねた人であろうか、、、、「つのる思い」を感じます。

もっと、想像をたくましくすると、、、、、、、、、
作者の身分を知りませんが、 作者が五穀のうち「麦」を食していた時に父母に躾をされていた事の思い出を、 作者が「馬の麦を食める様子」を見て偲んだ歌かもしれませんね。

私も幼少の頃に、米に麦を混ぜたものを食していた記憶があります。 私の父母の話によると、それは「オシムギ」というもので、脱穀し平たく潰したものだそうです。 馬には、脱穀をせずに蒸かしたものを餌として与えていたと聞きました。


以下、資料


万葉集 12巻3096
櫃○越尓*1 馬柵越しに うませごしに
麦昨駒乃 麦食む駒の むぎはむこまの
雖詈 詈らゆれど のらゆれど
猶戀久 なほし恋しく なほしこほしく*2
思不勝焉 思ひかねつも おもひかねつも*3

櫃:「うま」にあたる文字が表示できず、異体を使用しています。部首「木」つくりが「巨」で「木巨」を一文字にした漢字です。
*1:「木若」の一字が表示できませんでした。また、異体も見つからず「○」で表現しています。
*2:なほしこひしく、なほしこふらく
*3:しのひかねつも、おもひあへずも


ここまで